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研究内容 Research

 学内外の研究者、企業と共同研究を盛んに行っています。ご興味がおありの方はakiueda☆hiroshima-u.ac.jp(☆を@に変えてください)までお問い合わせください。

 私たちの研究室では植物栄養学をベースとした植物の生産性向上に関する研究を行っています。材料には、植物(イネ、トマト、芝、シロイヌナズナ、など)のほかにも、環境から単離した細菌を使用します。研究手法としては、植物の生産性や生産物の特性の評価について、生理学や分子生物学、分子遺伝学的手法を用います。時には大変な作業を伴いますが、ワクワクする研究を行っています。詳しくは以下をどうぞ。 

1.植物の耐塩性機構の解明、耐塩性向上に関する研究

 土壌に高濃度の塩分が蓄積されると塩害(塩ストレス)が発生し、植物の生育が悪くなります。塩害土壌は乾燥地や半乾燥地、東南アジア等で発生しており、世界の農耕地の約20%で発生していると言われています。塩害土壌でも植物の生産性を低下させないためには、植物の耐塩性(塩ストレスに耐える力)を向上させる試みが重要です。

研究テーマ1.耐塩性イネの作出

~ Creation of salinity tolerant rice ~

世界三大穀物の一つであるイネ(Oryza sativa L.)は塩ストレスに弱い中生植物です。耐塩性に優れたイネ品種を作出するには、交配親となる塩害に強いイネ品種を探しだすことが重要です。多様なイネ在来品種群から耐塩性に優れた品種を選抜し、生理学的手法あるいは分子生物学的手法を用い、その耐塩性の仕組みの解明を行います。また、分子遺伝学的手法により、耐塩性のカギとなる遺伝子の同定を行い、新しい耐塩性イネ品種の作出を目指します。エジプトやタイ、フィリピンとの共同研究を行っています。

Rice (Oryza sativa L.), one of three major cereals, is a glycophyte which is susceptible to high salinity. To improve salinity tolerance in rice, screening of tolerant varieties against high salinity is important. In this project, we use a collection of divergent japonica landraces for screening of salinity tolerant varieties and study mechanisms of salinity tolerance using physiological and molecular biological approaches. Finally, new rice varieties having salinity tolerance will be created using molecular genetic techniques.

 

研究テーマ2.耐塩性野生植物が持つ優れた耐塩性機構の解明

~ Mechanisms of salinity tolerance in wild plants~

地球上には海水と同等の塩分濃度でも生育が可能な植物種が存在します。マングローブを構成するヒルギダマシ(Avicennia marina)や東アジア沿岸部に自生する野生イネ(Oryza coarctata)、ガラパゴス島沿岸部に自生する野生トマト(Solanum galapagense)などは耐塩性に優れた塩生植物の一例です。これらの塩害に強い植物がなぜ強いのかの仕組みを明らかにします。耐塩性のカギを握る遺伝子を単離し、遺伝子組換え技術を用いて耐塩性植物の作出を行います。 

There are some wild plant species which naturally grow in coastal areas. Such halophytes species includes Avicennia marina in mangrove forests, Oryza coarctata, a wild rice species, and Solanum galapagense, a tomato landrace in Galapagos islands. Through identification of salinity tolerant mechanisms in these halophytes, we attempt to isolate determinant genes for salinity tolerance and introduce useful genes to improve salinity tolerance in crop plants.

研究テーマ3.耐塩性植物に見られる塩排出機構の解明

~ Mechanisms of salt excretion in salinity tolerant plants ~

耐塩性に優れるある種の植物は葉や茎の表面から塩分を排出するための塩類腺を有しています。塩類腺は葉内の過剰な塩分を体外に排出するための特殊な器官ですが、すべての植物種に見られるわけではありません。芝草の一種であるローズグラス(Chloris gayanaは塩類腺を有した芝草であり、耐塩性に優れたC4植物です。世界各地から採取されたローズグラスの在来品種群を用い、耐塩性が強い品種や弱い品種の選抜を行い、塩類腺からの塩分排出能との関係を調べます。

Some of salinity tolerant species have salt glands, an epidermal tissue of leaves and stems for salt excretion. Rhodes grass (Chloris gayana) is a salinity tolerant C4 grass having salt glands. Using divergent collections of Rhodes grass, we screen salinity tolerant varieties and study relevance of functions of salt glands to salinity tolerance.

イネ

塩害土壌(白い塩分が析出している)

Photo taken in Dominican Republic, 2011

ガラパゴストマト(実は甘い!)

マングローブ(石垣島)

Photo taken in Ishigaki island, 2016

ローズグラスの葉表面に噴き出された塩分

2.植物の減肥栽培のための研究

 植物の栽培には17種類の必須元素が適量、必要です。特に窒素、リン、カリウムは肥料の三要素とも呼ばれ、植物栽培には多量必要です。これらの必須元素は肥料として土壌に施用されますが、リン肥料やカリウム肥料のもととなるリン鉱石やカリ鉱石は日本ではほとんど産生されません。ゆえに、我が国の農業はこれらの肥料資源の多くを輸入に頼っているともいえます。有限である肥料資源を上手に節約することは、安定した農作物生産につながるとともに、肥料コストの抑制にもつながります。有限である肥料資源のワイズユーズを目指して、施肥量を減らす減肥栽培を行っても生産性が低下しないイネ品種の創出や栽培技術の確立を行います。

研究テーマ4.有用元素としてのナトリウムの生理機能

~ Roles of Na as a beneficial element~

ナトリウムは土壌に過剰に蓄積されると塩害を引き起こす主要なカチオンの一種ですが、適量であれば塩生植物や一部のC4植物の生育を促進することが知られており、植物栄養学上は有用元素として扱われます。しかしながら、有用元素としてのナトリウムの生理機能については、不明な点が多く残されています。そこで、適量のナトリウム施肥により生育が促進される作物を使い、ナトリウムの生理機能について調べます

Sodium (Na) is a cause of high salinity problems when it is accumulated in soils at higher concentration. On the other hand, Na fertilization at moderate concentration enhances growth of some halophytes and C4 plants, thus Na is recognized as a useful element in plant nutrition. Recently, we found that Na is also useful to promote growth of C3 crops. However, the roles of Na as a useful element is still not  well-described. In this study, we reveal the roles of Na in growth promotion using some crops whose growth is improved by Na fertilization.

 

研究テーマ5.減肥栽培に向けた新しいイネ品種の作出

~Creation of new rice varieties for reduced fertilizer cultivation~

農作物生産には、窒素、リン、カリウムの肥料の三要素をはじめとした17種類の必須元素が必要です。多量必須元素のうち、リンやカリウムは肥料のもとになる鉱石資源が有限であること、またこれら鉱石資源は日本ではほとんど産出されません。施肥量を減らしても(減肥)生産性を低下させない作物品種の作出は、持続的な農作物生産につながると期待されます。ここではカリウム肥料が少なくても生産性をあまり低下させないようなイネ品種の作出を行います。

17 elements are required for plant growth. Among these essential elements, resources of phosphorus and potassium fertilizer are limited around the world. Because Japan is very poor in such resources, developing new crop cultivars is an urgent issue for sustainable crop production. In this project, we screen tolerant rice varieties to low-input conditions.

塩害に弱いイネにも塩が効く?

3.細菌を用いた植物増産の試み

 

 自然環境中には植物の生育を促進する効果を持つ細菌が存在します。これらは植物生育促進細菌と呼ばれます。植物生育促進細菌には、植物に栄養分を供給するものや植物を病害から守るものがありますが、農作物栽培に実用化されているものはまだまだ少ないのが現状です。植物生育促進効果を持つ新規な細菌を単離するとともに、その作物栽培への実用化技術の開発を行います。

研究テーマ6.植物生育促進細菌の探索

~Isolation of plant growth promoting bacteria~

環境中に存在する細菌の中には植物の生育を促進する効果を持つものが存在します。このような植物生育促進細菌を植物の生産性向上に利用するために、様々な土壌やそこに自生する植物から植物生育促進効果を持つ細菌の単離を行います。また細菌種の同定や植物生育促進効果の仕組みを明らかにするとともに、新しいタイプの植物生育促進剤の開発を目指します。

Some bacterial species in environments have the ability to promote plant growth, so these bacteria are called plant growth promoting bacteria (PGPB). In this project, we attempt to isolate PGPB from different environments and study mechanisms of plant growth promotion by PGPB to develop microbial fertilizer.

4.植物抽出物を用いた細菌バイオフィルム制御に関する研究

 植物体には病原性細菌から人間を守る働きを持つ機能性成分が含まれていることがあります。様々な植物種からの抽出物を用いて、虫歯の原因となるStreptococcus mutans(ミュータンス菌)の働きを抑制する機能性成分の探索を行います。

研究テーマ7.う蝕予防に効果的な植物機能性成分の探索

~Screening of plant ingredients for prevention of dental caries~

先進国の中で日本はう蝕(虫歯)の発生率が高いため、その効果的な予防策を確立することが重要です。う蝕の原因となる口腔細菌Streptococcus mutansは歯の表面にバイオフィルムと呼ばれる膜状構造物を形成し、そこに活動の足場を作った後に酸を放出してう蝕を引き起こします。このようにバイオフィルム形成はう蝕発生の最初の段階であるため、S. mutansのバイオフィルム形成を制御する技術の開発はう蝕予防に極めて重要である。日常の食生活を通した効果的なう蝕予防方法の提案を行うために、様々な植物抽出物を用いてバイオフィルム制御に有効な機能性成分を探索するとともに、その機能性成分の生産増にふさわしい植物の栽培条件を検討します。

5.光合成特性を考慮した植物生育促成化のための栽培条件検討

 植物は光合成炭酸固定経路の違いから3つのタイプ(C3、C4、CAM)に分類することができます。植物が持つ光合成型に適した栽培条件を最適化し、生育を促進することを目的とします。

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